高血圧、放置していませんか?

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2017/11/23

①高血圧は実は怖い病気です。
 検診などで、「血圧が高い」「高血圧」と言われても、そのまま病院にかからない方は少なくありません。血圧が高いだけでは何も症状がないため、「今は特に困っていない」という方が多く、また、血圧は常に変わるため「たまたま今日が高かっただけ」と思われるかたも多いものと思います。確かに、検診で「血圧が高い」あるいは「高め」と毎年言われても、しばらくの間、何も悪いことは起こらず、さらに病院に行く気にはなれない方も多いでしょう。
 しかし、高い血圧はゆっくりと、体にめぐる血管の壁をむしばんでいきます。動脈硬化です。「動脈硬化」はよく聞かれると思いますが、血管の壁が固くなり、もろくなっていく病気です。そして、時に血管が詰まり、時に血管がやぶけます。血管は全身にありますから、それぞれの臓器により起こる症状は変わりますが、血管が詰まった結果、脳梗塞や、心筋梗塞、足の血管であれば足は腐ってしまいます。一方、脳血管が破けると脳出血を生じます。太い血管では血管が膨らんで動脈瘤となり、破裂すれば致命的な大出血を生じます。いずれの場合も、一瞬で健康な生活が閉ざされ死に至ったり、重い後遺症を残す危険があるのです。もちろん動脈硬化の原因は「高血圧」だけではありません。血液中の脂分が多いい「高脂血症や高コレステロール血症」「喫煙」「糖尿病」など様々原因が関係しています。しかし、その中でも「高血圧」は重要な位置をしめ、かつ、適切な治療が可能な病気なのです。

②高血圧の診断
期外収縮といって、いつものリズムと異なる心臓の収縮が1、2拍起こっている可能性があります。起こるときには連続しておこることがあり、心臓が躍っているような感じで気持ちわるくなることもあります。多くの場合、治療は必要ありませんが、何らかの心臓の病気が原因になっていることもありますので、一度は受診されることをお勧めします。

③高血圧の原因と治療
 高血圧は家系的、あるいは遺伝的に血圧が高い本態性高血圧と、何らかの疾患が原因となっている2次性高血圧に大きく分類されます。2次性高血圧では、原因となった病気の治療が必要ですが、本態性高血圧では血圧を下げるお薬(降圧剤)の服用が基本的な治療となります。

④お薬は飲み始めたら一生飲まなくてはいけませんか?
 よく患者さんに質問されますが、原因が取り除かれない場合、血圧が改善する要素がなく、多くの場合、血圧の薬は長期間継続する必要があります。しかし、何らかの原因があって血圧が高い2次性高血圧では原因疾患の治療により薬の量が減る可能性があります。また、肥満なども血圧を高くする大きな要素であり、体重の減量によって薬が減ったり必要なくなる場合もあります。しかし、患者さんご本人がその判断をするのは危険です。必ず主治医と相談しながら治療をすすめる必要があります。

⑤血圧の目標値はありますか。
 あります。医師が集まって患者さんの治療について話し合う学会という場において検討が行われ、何年かに1回、変更が加えられますが目標値はガイドラインとして公表されています。また、これは合併する疾患などによっても、若干変わり、また、高齢の方においては高齢者のガイドラインがあり、若い方より少し高めの設定になっています。

⑥夏の暑い時期には血圧が下がります。
 私が治療させていただいている患者さんのほとんどは、長年毎日血圧測定をしていただき、それをもとに治療を行っていますが、3分の1くらいの患者さんでは、暑い時期は比較的血圧がさがり、また寒くなると高くなるという季節性があります。これらの方では、季節により内服薬の調整を行っています。