2018/01/17
「睡眠時無呼吸症候群」の症状と合併症について
眠っている間に呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」という病気があります。「無呼吸」というとドキッとしますが、無呼吸それ自体で即窒息死を起こすことはありません。それよりもむしろ、きちんと睡眠を取れていないなどの原因で身体に負担がかります。その結果高血圧症や心疾患といった生活習慣病や、昼間に眠気が生じて労働災害や交通事故を引き起こすおそれがあるのです。睡眠時無呼吸症候群の方は、健康な方と比較して高血圧を発症する確率は2倍、狭心症・心筋梗塞は3倍、脳血管障害は4倍、糖尿病は1.5倍にものぼるという報告もあります。
ご家族や友人に無呼吸を指摘されたら
寝ている間のことは自分ではなかなか把握しづらいです。しかしご家族や友人からいびきや居眠り、寝ている間の無呼吸を指摘されたらこの病気を疑ってみる必要があります。自分自身では「無呼吸」を自覚できないことがほとんどですから、周りからのアドバイスに耳を傾けた上で早めの対処が必要です。
検査について
当クリニックでは、ご自宅で睡眠特徴を測定ができる「簡易睡眠」というポリグラフィー検査を準備しています。この検査では睡眠中の呼吸の状態をみるために、鼻の気流や血液中の酸素の濃度、脈拍などを同時に記録します。管を顔に貼り付けるため若干の違和感は生じるかもしれませんが、一晩の間つけていただくだけの簡単な検査です。検査結果を解析後、1週間程度でご説明ができます。結果次第では「終夜睡眠ポリグラフィー検査」というより精密な検査を行う場合があります。精密検査が必要な際は、入院をして検査ができる佐久総合病院などの施設をご紹介させていただきます。
治療について
睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、患者さんに適した治療法を選択いたします。同時にご自身で生活習慣の見直しも行うようにしましょう。肥満ぎみの方は運動を、アルコールを飲む方は就寝前の飲酒は控えるようにしましょう。また睡眠薬などを服用している方は、主治医にご相談ください。薬の中には無呼吸を悪化させてしまうものがあります。
・CPAP療法
就寝時に患者さんの鼻から空気を送り込み、気道を閉じないようにする治療法です。睡眠時無呼吸症候群の治療法として確立しています。
・マウスピース
カスタムメードで作製したマウスピースを就寝時に用います。上下の顎を固定→下顎を上顎より前に出す形で、熟達した歯科医師が無呼吸用のマウスピースを作成します。軽症の患者さんに処方されることが多い治療法です。
・外科手術
扁桃腺の大きい場合や、口蓋垂(のどちんこ)が大きく垂れ下がっている方に適した治療法です。無呼吸の手術の経験が豊富な耳鼻咽喉科医が担当します。