閉塞性睡眠時無呼吸症候群
閉塞性睡眠時無呼吸症候群とは
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道(主に喉の奥の咽頭部分)が閉塞してしまい、呼吸が一時的に止まる状態が繰り返される病気です。この状態が頻繁に起こることで、さまざまな健康問題を引き起こします。
主な症状
1.睡眠中の症状
- いびき:いびきと無呼吸は同様の原因で生ずるため、いびきのひどい方は睡眠時無呼吸であることが疑われます。
- 無呼吸:10秒以上呼吸が止まる状態が繰り返されます。長い場合、1分以上の呼吸が止まる状態を生じます。
- 頻繁な覚醒:呼吸の苦しさにより睡眠の質が低下し、目が覚めてしまうこともよくおこります。
2.起床中の症状
- 過度の眠気:日中に極端な眠気を感じることがあります。
- 集中力低下:眠気により思考力や判断力が鈍ることがあります。
- 疲労感:夜間の質の良い睡眠が得られないため、疲労が蓄積してしまいます。
- 頭痛:特に朝に頭痛を感じることが多いです。
主な原因
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、気道が狭くなることで発生します。主な原因として以下が挙げられます。
- 解剖学的な問題:生まれつき下顎が小さい、扁桃腺が大きい、舌が大きいなどが原因となりやすい状態です。
- 肥満:脂肪の蓄積が気道を狭くすることがあります。
- 筋力の低下:加齢や睡眠中の筋弛緩によって、気道周囲の筋肉が弱くなることも原因となります。
- アルコールや薬物:筋弛緩剤や睡眠薬が気道の閉塞を悪化させることがあります。
健康への影響(合併症)
閉塞性睡眠時無呼吸症候群を放置すると、以下のような深刻な健康問題を引き起こすリスクがあります。
1.心血管系の病気
睡眠中の酸素不足や血圧の変動が、心血管系に大きな負担をかけます。
- 高血圧:睡眠中の酸素低下により交感神経が活発化し、血圧が上昇します。通常では夜間は昼間より血圧が低下しますが、睡眠時無呼吸症候群の方は、夜間に血圧が上昇するため、朝方の家庭血圧の測定で高血圧を生ずることもよくあります。
- 心臓病:心不全、狭心症、心筋梗塞、急性大動脈解離などのリスクが増加します。
- 不整脈:特に脳梗塞の原因となる心房細動の発生が増加します。
2.日常生活への影響
- 日中の過度の眠気により居眠り運転や仕事のパフォーマンス低下を引き起こします。
- 反射速度や判断力の低下による交通事故や労働災害を引き起こしやすくなります。
- 質の低い睡眠が長期間続くため、全身倦怠感(慢性疲労)を生じやすくなります。
3.睡眠の質の悪化とその影響
- いびきや呼吸停止により、同居者やパートナーの睡眠も妨げ、家庭生活に悪影響を及ぼします。
- 夜間頻尿の原因となることがあります。
当院での診断・検査方法
当院では家庭で行うことができる簡易検査を施行しています。検査機械をご自宅に送付し、一晩、検査機器を装着して寝ていただきます。この結果、無呼吸の有無、睡眠時無呼吸の重症度、治療の必要性を判断します。
重症の場合には、当院で持続的陽圧呼吸療法(CPAP)の治療を開始することが可能ですが、検査の数値によっては、より正確な検査を施行するため佐久総合病院等に検査を依頼します。この場合、病院に一晩入院して検査を行っていただきます。
当院での治療
1.CPAP治療
重症の場合には、CPAP治療を行うことで劇的に無呼吸を改善することができます。睡眠中に舌や軟口蓋などが喉に落ち込んで気道を塞ぐのを防ぎ、空気の通り道を確保することで、無呼吸を改善します。CPAPの機械は専門のメーカーからレンタルで患者さんに貸し出しを行い、機械の使用料金は保険を使用する治療費用としてクリニックにお支払いいただきます。
2.マウスピースの利用
重症度の低い場合には口腔内にマウスピースを装着して無呼吸を改善する治療を行うことがあります。マウスピースは歯科口腔外科等に依頼して作成してもらいます。
3.軽症の場合には、横向きで寝ることも有効
上記のような治療が必要でない軽症の場合には、横を向いて寝ることなどが無呼吸の改善に有効です。