「心房細動」は危険な不整脈です

このエントリーをはてなブックマークに追加

2018/03/11

心房細動とは?
別項にある通り不整脈には様々な種類が存在します。そのうち「心房細動」は一般的に脈が速くなる不整脈のひとつで、脈の規則性がなくなりリズムが大きく乱れてしまう病気です。心臓の中の心房が不規則に痙攣し、心房の収縮が不十分になります。



このため心房の中に血の塊ができる危険性が高まります。心房細動の合併症で最も注意しなくてはならないのは脳梗塞ですが、心房の中にできた血の塊が心房から外れて脳の血管に流れ着き、脳の血管を塞ぐことによって大きな脳梗塞を起こしてしまうのです。この病気は高齢者に多く、寝たきりになる大きな原因となっています。



心房細動の症状
それまで正常の脈であったのにも関わらず、突然心房細動を生じた際は脈が速くなり、胸のあたりがドキドキする「動悸」の症状を自覚することが多いです。また「脈がすごく早くなること」や「脈が乱れていて不規則になること」も特徴です。さらに血圧の低下によってめまいが生じたり、「不快感」といった症状になることもあります。



しかし慢性的な心房細動になると、患者さんも慣れてしまい、症状自体は全くなくなることもよく経験します。ですから、症状がないといっても安心することはできません。最近は家庭血圧計で不整脈を感知してくれる種類のものもあります。

心房細動の種類
心房細動には、普段は正常な脈にも関わらず時々心房細動になる「発作性心房細動」、不整脈が続くものの治療により改善する「持続性心房細動」、どんな治療を施しても元に戻らない「永続性心房細動」の3種類があります。心房細動の時間が長いほど血の塊もできやすくなりますが、発作性心房細動でも脳梗塞になることがあるので治療の検討が必要です。

治療①心房細動を治す
心房細動を治す治療は薬物治療が一般的です。しかし根治は難しく、治ったとしても再発することが多いため、近年は心臓に管を入れて治療するカテーテルアブレーションが普及しています。この方法で治療できるのは「発作性心房細動」の患者さんのみですが、治療方法に熟練した病院では90%近い患者さんの再発を予防できるまでになっていると言われています。



治療②血の塊の形成と脳梗塞などを予防する
心房細動を治すことができない場合は、脳梗塞などを予防することがとても大切な治療になります。脳梗塞を起こしやすい人は、心不全、高血圧、糖尿病、高齢の方、以前に脳梗塞などの血管が詰まる病気を起こしたことのある方と分かっています。こうしたリスクが高い方は、血液を固まりにくくする薬(抗凝固薬)を使って、血液の塊ができることを予防する治療が必要です。以前は定期的な血液検査が必要なうえ、納豆などが食べられないといった制約があり、お薬もやや使用が難しいワーファリンというものしかありませんでした。しかし最近は新しいお薬が何種類も出てきて、先述のような制約もなく、安全性や有効性の面でもワーファリンに劣らないことが分かっています。このお薬は継続して内服することが重要です。数日間止めただけでも血液の塊を生ずることがありますので、飲み忘れないように注意することが必要です。またこのお薬は当然ですが、何の際に出血をすると血が止まりにくくなります。出血で医師にかかる際は、必ずこの薬を服用していることを告げていただく必要があります。

当クリニックでの治療方針
当院ではカテーテル治療はできませんので、発作性心房細動に対するカテーテル治療をご希望の際は治療可能な専門病院をご紹介いたします。