コラム
2025.02.15
当院で花粉症の治療も行っています
花粉症の季節がやってきましたね。当院でも花粉症の治療を行っています。今年は花粉の飛散が少し早いようなので、花粉症の症状が始まる前の治療開始をおすすめします。
花粉症が起こるメカニズムを簡単に解説!
花粉症は 体の「勘違い」 が原因で起こります。
- 花粉が体に入る
➡ くしゃみ・鼻水・涙で 異物を追い出そうとする のが本来の働き。 - 免疫システムが「花粉は敵だ!」と誤認
➡ 体が花粉を ウイルスのような危険なもの だと勘違い。 - ヒスタミンという物質が大量に出る
➡ これが 鼻水・くしゃみ・目のかゆみの原因 になる。
つまり、 体が過剰に反応して暴走 している状態が花粉症です。
薬でこの「暴走」を抑えることで、症状を和らげることができます。
花粉症の標準的な治療方法
花粉症の治療は、大きく分けて以下の3つの方法があります。
1)薬による治療(対症療法)
症状を和らげるために、主に以下の薬が使われます。
- 抗ヒスタミン薬(アレルギー薬)
- 効果:くしゃみ、鼻水、目のかゆみを抑える
- 代表的な薬:
- 第2世代抗ヒスタミン薬(眠くなりにくい)
- アレグラ(フェキソフェナジン)
- クラリチン(ロラタジン)
- ザイザル(レボセチリジン)
- デザレックス(デスロラタジン)
- ビラノア(ビラスチン)
- 第2世代抗ヒスタミン薬(眠くなりにくい)
- ビラノアは内服の前後2時間食事を控える必要がありますが、眠気をほとんど生じないメリットがあります。しかし、やや効果が弱いと感ずるかたもあり、その場合には寝る前の内服で2錠まで使用可能なレボセチリジン(ザイザル)を当院では多く処方しています。(院長もザイザル使用しています。)
- 鼻噴霧ステロイド薬(鼻スプレー)
- 効果:鼻づまり、くしゃみ、鼻水を抑える
- 代表的な薬:
- ナゾネックス(モメタゾン)
- アラミスト(フルチカゾン)
- エリザス(デキサメタゾンペシル酸エステル)
- 院長も使用していますが、花粉が体内に到達する鼻腔内に作用し、炎症をおさえることにより花粉症症状を抑える効果があります。定期的に使用することにより、内服薬を使用量を減らしたり、中止できる方もいらっしゃいます。
- 点眼薬(目のかゆみ対策)
- 代表的な薬:
- パタノール(オロパタジン)
- リボスチン(レボカバスチン)
- ゼペリン(アシタザノラスト)
- ゼペリンは最近発売された点眼薬で、当院では現在この薬を主に処方しており、院長も使用中です。
- 代表的な薬:
4. ゾレア(オマリズマブ)注射
- 2020年から保険適用となった重症のスギ花粉症の人向けの注射薬です。
- 当院では行っていません。
- ゾレアが適応になる人(対象)
- スギ花粉症が非常に重い人(通常の薬で効果が不十分)
- 血液検査で「IgE」というアレルギー値が一定以上ある人
- 体重とIgE値が基準内にある人(基準外だと投与不可)
- 12歳以上(小さい子どもには使用不可)
- 効果
- スギ花粉に対する アレルギー反応そのものを抑える
- 症状が大幅に軽減され、薬の量を減らせることも
- 注意点
- 高額(保険適用で自己負担3割でも1回1万円~2万円)
- 花粉シーズン前から複数回の注射が必要
2)舌下免疫療法(根本治療)
- 当院では行っておりません。
- スギ花粉症の方は、「シダキュア」という舌の下に置く治療薬で、長期的に症状を軽減することができます。
- 数年かかる治療ですが、根本的な改善を目指す方におすすめ。
3)生活習慣とセルフケア
- マスクやメガネの着用で花粉を防ぐ
- 帰宅後すぐに顔や手を洗う
- 室内の花粉対策(換気の工夫、空気清浄機の使用)
再診時のお薬について
花粉症の治療薬は、病院での再診時に前回と同じ薬を処方してもらうことが可能です。
・症状が変わらない場合:同じ薬を継続
・症状が強くなった場合:より強い薬や追加の治療を検討
花粉症の検査方法
花粉症の診断は患者さんの症状でおおむね診断可能ですので、必須ではありませんが、どのようなものが花粉症の原因になっているかと調べるために下記の血液検査を当院では行っています。
▼花粉症の血液検査(特異的IgE抗体検査)
採血して、アレルギーの原因(花粉など)に対するIgE抗体の量 を測ることにより、アレルギーを生じている原因および重症度を調べることができます。
当院では、特定の原因の検査も可能ですが、一般的には花粉、食物、ほか36種類のアレルギー原因をセットで検査するMAST36検査を施行しています。(保険で検査が可能で、3割負担の方で約5000円の費用になります)