不整脈
不整脈とは
心臓の拍動(鼓動)は、心臓の中の洞結節という部分から規則正しい電気信号が心房、心室に短時間で伝わることにより成り立っています。不整脈は、心臓の拍動がこの正常なリズムを外れた状態を指し、脈が速くなったり、遅くなったり、または不規則になります。
主な症状
- 動悸:最も一般的な不整脈の症状です。胸がドキドキする、心臓が速く打っている感覚。あるいは一瞬だけ心臓が変に動きどきっとするような感じがします。この一瞬のどきっとする際に咳がでることもあります。
- 目の前が暗くなる、失神:血流の乱れから脳への血液供給が不足し、一瞬目の前が暗くなったり、引き込まれるような感じがすることがあります。また、それらが強くなると意識を失うことがあります。
不整脈の種類
- 期外収縮:心臓が規則正しいリズムより一瞬早く収縮する状態です。心臓が一回早く鼓動し、その後一瞬止まったような感覚となり、多くの方が動悸症状を覚えます。洞結節以外の異なる心臓の細胞から電気信号が出るために起こりますが、信号が心房から出る場合を上室性期外収縮、心室から出る場合を心室性期外収縮といいます。不整脈のなかで最も多い種類です。
- 心房細動:洞結節からの信号が失われ、脈の規則正しさはなくなり、まったく不規則な状態になります。心房が収縮しなくなるため、心房内に血の塊である血栓がつくられやすくなります。この血栓がはずれて血管の中を通って頭に運ばれると脳梗塞を生じます。
- 発作性上室性頻拍症:心拍が規則正しく異常に早くなる状態です。脈拍は多くの場合、1分間に120~150程度になります。突然強い動機を生じ、多くの場合血圧が低下するため、めまいや立ち眩みのような症状を生じます。症状は強いですが、生命に危険を生ずることはなく、多くの場合数時間以内に自然に回復します。
- 徐脈(じょみゃく):心拍が異常に遅くなる場合で、脈拍は多くの場合1分間に40以下となります。体のだるさ、めまい、息苦しさなどを生じ早急の治療が必要です。
- 心室細動:心室が乱れて収縮し、失神や生命に危険を及ぼす重篤な状態です。AEDなどの即座の治療が必要です。
主な原因
不整脈の種類によって異なりますが、心臓の疾患や甲状腺の疾患、電解質異常、睡眠時無呼吸症候群などが原因となる場合があります。しかし期外収縮でははっきりとした原因はない場合も多くあります。
当院での診断・検査方法
不整脈の診断においてまず大事なのは患者さんに自覚症状をお話しいただくことです。動悸症状で来院される方の中には、心臓の拍動を強く自覚されているだけで、不整脈の疑いのない方も多くいらっしゃいます。
検査は、不整脈を心電図で見つけることが最も確実な診断方法になります。しかし、多くの場合、不整脈は時々しか発生しないため、24時間継続して心電図をとることのできる「ホルター心電計」を装着することが一般的な診断方法になります。24時間では不十分な場合、1週間検査のできる心電計を用いる場合もあります。また、基本的な心臓の検査として胸のレントゲン写真と心電図検査は初診当日に行います。
不整脈の種類が分かった場合、必要に応じて心臓の病気が原因となっていないかを調べるため心臓超音波検査を、また甲状腺疾患や他の問題がないかを調べるため血液検査などを行います。また、状態によって心臓への運動負荷検査や狭心症の有無を調べる検査が必要な場合には、佐久医療センター等に検査を依頼します。
当院での治療
治療は不整脈の種類や原因により異なりますが、主な治療法には以下があります。なお期外収縮ではほとんどの場合、治療は必要ありません。
- 薬物療法:抗不整脈薬や、心臓の拍動を少し抑えて不整脈を減少させるベータ遮断薬を用いる場合があります。心房細動では心臓内の血の塊を作ることを予防する抗凝固薬が使用されることがあります。
- カテーテルアブレーション:心房細動、発作性上室性頻拍症などでは異常な電気信号を発生させる部位を焼灼して不整脈を治療するカテーテルアブレーションが推奨される場合があります。当院では佐久医療センターに紹介、治療を依頼しています。
- ペースメーカー:心拍が遅くなりすぎる場合、心拍を調整するための機器を心臓に埋め込む治療方法です。治療は急を要する場合もあり、佐久医療センターに依頼します。
不整脈は、軽度の場合は治療が不要なことも多いですが、重篤な場合は生命に関わるリスクがあるため、早めの診断と治療が重要です。