高血圧
高血圧とは
血圧とは、心臓から出ている血管の中の圧のことです。一般に上腕や手首の位置で血圧を測定しますが、その位置にある血管の中の圧力を測定していることになります。
高血圧はこの圧が基準以上に高い場合を指していますが、実際には常に血圧は変動しており、また高血圧そのものから体の不調を生ずることはありません。つまり、患者さんに高血圧に伴う症状はないため、測定する以外にご自身が高血圧であるかどうかはわかりません。
高血圧を放置した場合の問題
では、高血圧を適切に治療しない場合にどんな危険があるのでしょうか。多くの場合、すぐに危険なことが起きるわけではなく、将来、高齢になるほどに動脈硬化が進行し、それに伴う心筋梗塞や脳梗塞、心不全などを生ずるリスクが上がります。つまり、健康寿命(寝たきりなどにならずに健康に生きていられる状態)の短縮の大きな原因となってしまうのです。また、稀ですが、若い方、例えば40歳台の方でも大動脈が裂けてしまう「大動脈解離」や「脳出血」など生命に危険を生ずる突然の病気を発症してしまうことがあります。
健康診断で高血圧を指摘されたら
健康診断や病院受診時の血圧は通常時の血圧と同じとは言えません。緊張などで普段より血圧が高くなってしまう場合もありますし、また逆に通常よりも低い値が出る場合もあります。
このため、日本では高血圧の治療にあたって、患者さんご本人が家庭で血圧を測定することが強く推奨されています。当院でも高血圧の治療にあたっては、家庭血圧を治療の基準として非常に大切にしています。
血圧の測定あたっては、下記の基準で行うことが勧められています。
- 血圧計は上腕式を使用する。(手首式は誤差が多く、推奨されていません)
- 血圧を測定するタイミングは朝夕の2回。
(1)朝:起床から1時間以内、トイレ使用後、朝食や薬の内服前に
(2)夜:就寝前。就寝前に入浴される方は入浴前が望ましい - 2回測定し、スマホのアプリや血圧手帳等に記録する。(低くなるまで何回も測定を続けることは推奨されていません)
受診前に3~4週間程度、家庭血圧測定を記録していただいて来院していただけると、以後の治療がスムーズになります。
自分でできる対策
減塩
塩分の過剰な摂取は血圧を上昇させる大きな要因です。醤油や味噌などの調味料の問題だけではなく、漬物や干物など保存のできる食材は塩分が多く、注意が必要です。
運動
速足での歩行や軽いジョッキングなど有酸素運動がおすすめです。自分で「少し大変」くらいのスピードで1日に30分程度行うことができるととても有効な運動になります。
肥満の解消
体重の増加は高血圧の大きな要因です。体重の増加は他の生活習慣病にも大きな原因となりますので、体重の減少を図ることは健康全体にもよい影響になるといえます。
当院での治療
当院での治療
▼最初の受診時
当院では、院長、看護師3名が日本高血圧学会に所属し最新の高血圧治療を学び、患者さんに適切な高血圧治療を行うべく研鑽してきました。高血圧症で外来を受診された方には、以下のような看護師による指導、検査を行い、院長が今後の治療計画を立て、説明いたします。
- 家庭血圧の測定方法の説明、あるいは確認(血圧の記録はスマホでのアプリの使用をお勧めしており、こちらもお手伝いします)
- 患者さんの食事の状況を看護師が聞き取らせていただきながら、減塩のポイントについて説明
- 体の脂肪量、筋肉量、水分量などを調べる体組成検査を施行(無料)
- 年齢によって、動脈硬化の状況を調べるPWV検査を施行(無料)
- 必要に応じて、採血検査、尿検査、胸部レントゲン検査、心電図検査などを施行
- すでに家庭血圧を測定されていて、各種検査等の結果も踏まえて院長が内服の開始が望ましいと判断する場合は、お薬を処方
多くの患者さんは、初診時に薬を処方はせず、4週間程度家庭血圧の測定、減塩、運動などの対処をしていただいたうえで、2回目来院時に内服の必要性について検討します。
▼2回目以降の治療
家庭血圧の記録を見せていただき、内服治療の開始について検討します。初診時に内服治療を開始している場合は目標血圧に向けて内服の調整をします。
血圧は気候によって変動するなど、内服を開始してもつねに変動します。このため当院では血圧が目標値に達して、安定するまでは4週間毎の受診をお願いしています。安定してきた場合には受診間隔を延長します。なお、当院では窓口で処方箋のみお渡しして医師の受診がない、といった不適切な治療は行っていません。
また、検査に関しては、高血圧だけの治療が必要な患者さんでは、70歳未満の方は内服開始以後6か月に1回の採血検査、尿検査、体組成検査、1年に1回の胸部レントゲン検査、心電図検査、動脈硬化検査(PWV)を行いますが、会社の健診等の結果をお持ちいただける方は、検査結果を拝見しながら検査の施行を院長が検討します。
他院から当院へ転院を希望される方
従来、他の医療施設で高血圧等の治療をされており、今後当院での治療を希望される方は、特に紹介状等は必要ありません。お薬手帳をお持ちいただくことと、できましたら当院受診前に家庭血圧を測定し、記録を受診時にお持ちください。